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劇団サザン天都ファミリーシアター舞台裏

In spite of everything, the show must go on.(何があろうともショーは続けなければならない)。 まさに舞台はLIVEであることを実感した公演だった。

劇団サザン天都第6回ファミリーシアター「公女様のたからもの」の本番が迫ってくる中、毎年この時期は日本人学校の運動会あたりから風邪ひきが続出する。今年は子供役者の親までもがバタバタと倒れていった。

なんとか迎えた金曜夜のテクニカルリハーサル。会場入りして照明や音響の具合を確認するのだが、LED照明の色の出ないものや壊れている照明が続出し、照明プランを組みなおす羽目になる。

迎えた初日、最初の公演の前半では壁横スピーカーが機能せず、ついに前半終了直前に音が出なくなる。10分休憩中にシステムを再起動してなんとか復活させたものの、今度はせっかく合わせたボリュームがめちゃくちゃ。

なんとか初日を終えて、2日目の朝からボリュームの再調整を行い、2回目の公演は大きなトラブルもなく終了。「これでなんとかなる」と安心したが、正念場はここからだった。

舞台は全幕(舞台全部を使う)、中幕前( 緞帳幕の後ろの幕 、客席から見て2番目の幕)、前幕前(緞帳幕の前)とそれぞれの広さを場面によって使い分ける。 役者は動きを舞台の大きさに合わせて稽古している。

最終回の公演中前半、全幕のシーンで開いていく途中の中幕が落下した。幸いけが人もなく、役者も動ずることなく演技を続けたが、ここから舞台は大幅な見直しを迫られる。

中幕前の広さ
前幕前の広さ

トラブルを想定しさまざまな稽古を重ねて来ているが、さすがにこんな想定はない。中幕が使えなくなったことで「中幕前」のシーンをすべて狭い「前幕前」でこなさなければならない。

大道具などを移動させるバックステージの人も大道具をだす手順を何回も練習してきているが、それがすべて役に立たなくなり、イレギュラーな状態ですべてのセットを前幕前に組まなければならない。

結果として役者は創意工夫のアドリブでつなぎ、バックステージは可能な限り短時間で前幕前に中幕前と同じセットを組みあげてみせた。

「やってのけた」

舞台が終わった時に私の頭によぎったのはこの一言だけだった。

今回は役者としての出演は無く、脚本・演出・音楽・照明でこの舞台の仕掛け人をやってきたが、本当に忘れられない公演になった。あの中幕落ちのトラブルは4ケ月間ともに走ってきた仲間たちがONE TEAMであることを証明してみせた時間だったと思う。

自分のまったくのオリジナルの脚本・演出が、そして自分で作詞・作曲したメインテーマ『HORIZON』が少しでも 心に響いてくれたらありがたいです。

仲間たち、そして観に来ていただいたお客様には心から感謝します。

劇団サザン天都では来年の公演にむけてシアタースクールを開催します。

詳しくは ℡098-517-8789 gekidansazan@hotmail.com まで。
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