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タイ・バンコクから北朝鮮・平壌カウントダウンツアーに参加してきた話【旅行記⑤「軍事境界線」板門店編】

北朝鮮と韓国の国境地帯、板門店

タイ・バンコクからの北朝鮮・平壌旅行記第5回、今回は韓国との軍事境界線、南北分断の象徴である板門店の様子をお届けします。

ここまでの流れは、下記リンクからご覧ください。

注意
外務省からは、北朝鮮への渡航自粛要請が発令されています。(継続中)
また、日本と北朝鮮との間には国交がありません。当然ながら、大使館や領事館に相当する機関も設置されていないので、万が一の場合でも迅速な保護や支援を受けることは不可能です。
北朝鮮旅行に興味のある方は、以上のことを十分理解したうえ、全て自己責任で参加してください。
当記事は、渡航を勧めるものではありません。

北朝鮮の古都、開城市を観光

史上最低の高速道路で3時間

北朝鮮・平壌の羊角島ホテルのレストラン朝食会場

ド派手な平壌のカウントダウンイベントから一夜明け、というよりわずか4時間後。
朝6時に起床して、朝食会場のレストランへ向かいます。

北朝鮮・平壌の羊角島ホテルの朝食ビュッフェ

ホテルの朝食は、ビュッフェスタイルです。

色鮮やかなビュッフェ台の飾り、丁寧に作られた料理の数々。
朝も外国人観光客へのアピールに抜かりがありません。

朝鮮国際r旅行者のマイクロバス

元旦の日程は、北朝鮮の古都である開城(ケソン)市を観光した後、韓国との軍事境界線「板門店(はんもんてん)」の見学です。

開城は、平壌から南に約160キロ。
「平壌-開城高速道路」という、北朝鮮では数少ないハイウェイを使います。

北朝鮮・平壌の祖国統一三大憲章記念塔

その高速道路の入り口には、「祖国統一三大憲章記念塔」という大きなアーチが掛かっています。

平壌市内は、悪いなりにまだ耐えられる道路でしたが、高速道路は最悪。
穴だらけのガタガタ道で、今思い出してもよく車酔いしなかったなと思います。

例えるなら、3時間ずっとスペースマウンテンといった感じです。

北朝鮮は、一般国民が車を持つことが法律で禁止されているので、高速道路を走る車は、基本的に外国人観光客を乗せたツアーバスだけです。

雪かきに見る北朝鮮という国の貧しさ

張りぼての町平壌を出ると、行きの国際列車と同じような、ひたすら無の景色が続きます。
しかし、ボーっと外を眺めていると、衝撃的なシーンが飛び込んできました。

10人ほどで道路の雪かきをしていたのですが、その手に握るのはスコップではなく、葉の付いた木の枝。

もちろん木の枝で綺麗になる訳がなく、雪の表面をただ掃いているだけです。

否応なしに国の貧しさを感じる瞬間で、思わず固まってしまい写真は撮れませんでしたが、今も脳裏に焼き付いています。

歴史認識のズレ、どこまでが本音なのか分からない

しばらく走っていると、この日の観光が軍事境界線ということもあり、戦後日本の話も含めながら、ガイドが朝鮮半島分断の歴史や朝鮮戦争について語り始めました。

その話を聞いていると、朝鮮戦争の解説はめちゃくちゃ(北朝鮮が勝ったことになっている)なのに、戦後日本のアメリカとの関係や、それにまつわる解説は史実通りという矛盾。

色々と引っかかることが多く、どうしても気になったので、私はガイドにこんなことを聞いてみました。

「その歴史はどこで、何を元に学んだんですか?」

するとガイドは、

「大学の図書館に各国の歴史がまとめられた書物が大量にあり、それらを読んで勉強しました」
と答えてくれました。

外国人をアテンドできる頭の良い人たちですら、歪んだ歴史認識になっているという事実。
明らかに自分の国に都合よく、嘘で固めて歴史教育されているという現実。

この人たちが真実を知った日にはどうなるのでしょうか。

あるいは、毎日のように外国人と接するガイドや旅行会社の人たちは、実は全て気づいてしまっているけど、国民の相互監視システムがあるから互いに胸の奥にしまっているのでしょうか。

この国にいると、発言や行動の一つひとつに考えさせられてしまいます。

平壌開城高速道路にある唯一のサービスエリア

平壌-開城高速道路には、半分ほど過ぎた所に唯一の休憩所があります。

繁忙期には土産屋が開かれるようですが、元旦ということもあり閉まっていました。

平壌出発から約3時間、ひたすら悪路を走り続け、開城に到着です。

開城は、かつて高麗時代の王都として栄えた古都。
日本で言えば、京都に当たります。

北朝鮮の世界遺産、高麗王朝の歴史を辿るも・・・

過去の歴史よりも現代

北朝鮮・開城のユネスコ世界遺産の記念碑

北朝鮮には、世界遺産に登録されている文化・自然遺産が2カ所あり、開城の歴史的建造物や遺跡群はそのうちの1つです。

北朝鮮・開城の王建王陵
北朝鮮最古の石橋である開城市の善竹橋

王建王陵や善竹橋など、高麗王朝の貴重な史跡を巡りましたが、この国は現代史の方が遥かにインパクトがあり、今この瞬間が興味深い国なので、歴史の話なんて全然入ってきません(笑)。

北朝鮮の古都開城で自転車で移動する人々

世界遺産には申し訳ないですが、現代の北朝鮮を観察する方が価値があります。

北朝鮮人民の付けるバッジについて補足

北朝鮮の開城で自転車に乗る人々

ここで旅行記の第2回で紹介したバッジについて、少し補足したいと思います。

北朝鮮の国民は、軍人・民間人、公私を問わず、左胸に必ず金日成&金正日バッジを付けなくてはなりません。
往路の国際列車の中でも、バッジの有無ですぐに北朝鮮人民を見分けることができました。

しかし、前日のカウントダウンイベント時の平壌市民、そして開城市民の左胸には見当たりません。

ガイドに聞いてみると、バッジはコートなどの冬服には付けず、基本的にはインナーの左胸に付けるそうです。

一瞬、意外と崇められていないのでは!?と思いましたが、決してそんなことはなく、バリバリの宗教国家でした。

町中には凧揚げや羽子板で遊ぶ子供が多く、古き良き日本のお正月のような和やかな雰囲気です。

どんな時も彼らの肖像画はありますが(笑)。

いよいよ北朝鮮と韓国の軍事境界線、板門店へ

昼食で北朝鮮おせち料理を食す

北朝鮮・開城で食べる北朝鮮風おせち料理の数々

開城の世界遺産を観光後、そのまま市内のレストランで昼食。

北朝鮮風おせち料理を堪能しました。

北朝鮮・開城のレストランの店員

どこに行っても北朝鮮の店員さんは本当に親切で、接客も丁寧です。

北朝鮮・開城名物のサムゲタン

開城は高麗人参の産地として有名で、それを使った参鶏湯(サムゲタン)が名物料理だそうです。

しかし、こちらの料理は追加料金。

二度と来ないかもしれない国なので、普通に考えて食べますよね。
名物料理なら最初からランチに入れてくれと言いたいところですが、しぶしぶ追加注文。

随所で追加料金を取ってくるスタイルは、もはや資本主義の臭いしかしません。

板門店に行く途中の雪景色

板門店到着、語られるのは事実と虚構!?

昼食を終えて、いよいよ板門店へ向かいます。

道中には3カ所の検問があり、全て特別な許可証を見せないと通行できません。

また、場所が場所だけに写真撮影の制限もかなり厳しくなります。
不用意にカメラやスマホを向けようものなら、その瞬間に撃たれてもおかしくないエリアです。

北朝鮮と韓国の軍事境界線、板門店のお土産屋

板門店に到着後、まず連れていかれたのは、いきなりお土産屋。

「板門店でしか買えないお菓子があります」=世界でここにしか売っていない、ということになるので、ついつい色々と買ってしまいました。

ちなみに、ここで買ったお菓子は全部まずかったです(笑)。

板門店の見学は、北朝鮮軍将校による朝鮮半島の分断や非武装地帯についての説明から始まります。(各国語で同時通訳)

「世界中の人々に、我々朝鮮民族の悲しみを知って欲しい。世界各国から集まった皆さん、国に帰ってから今日見たものや聞いたことをぜひ家族や友人に話してください」

真っ直ぐな目で、そう語っていました。

板門店にある朝鮮半島の地図

北緯38度線について解説する際、朝鮮半島の領土を表した地図を使っていたのですが、皆さんは地図の違和感に気づきますか?

板門店にある朝鮮半島の地図に明記されている竹島

地図の右端に竹島が、如何にもわざとらしく載っています。

この問題も根深いですね。

板門店にある朝鮮戦争の休戦協定調印場の外観

次にやって来たのは、朝鮮戦争の休戦協定調印場。

1953年7月27日、各軍の代表がこの場所で休戦協定に署名しました。

朝鮮戦争の休戦協定調印場の当時の机と椅子

机や椅子、国連軍の旗などは当時のまま残っています。

この場所でも、北朝鮮が勝利した、アメリカは敗戦をごまかしているなど、パラレルワールドの説明を受けました。

ツッコミどころがあり過ぎて、話が真っ直ぐ入ってきません。

板門店の休戦協定調印場にある朝鮮戦争の資料

建物の中は、朝鮮戦争の博物館になっていて、当時の貴重な資料が展示されています。

世界屈指の緊張地帯で北朝鮮軍将校と交流

休戦協定調印場から少しバスで移動し、軍事境界線へ進んでいきます。

この辺りの写真は絶対NGで、警備という名目で北朝鮮軍人も同乗します。

バスを降り、共同警備区域に入ってすぐの場所には、大きな石碑があります。

こちらは金日成最期のサインを記念碑にしたもので、大切な書類に署名した翌日未明に亡くなったそうです。

ただ、ガイドが無駄に「祖国統一の夢を見ながら…」という枕詞を付けるので、途端に嘘くさくなりました。

北朝鮮と韓国の国境地帯、板門店

そこから歩いてすぐ、ついに世界屈指の緊張地帯にして冷戦の象徴、韓国との軍事境界線に到着です。

目の前には北緯38度線。ほんの数十メートル先は韓国です。

走れば10秒と掛からない距離ですが、この数十メートルを超えるためには、北朝鮮を出て他国に移動し、更にそこから韓国・ソウルに行き、現地で板門店ツアーに参加するしか方法がありません。

この場所は、過去数回、警備に当たっていた北朝鮮軍人が韓国へ亡命を図ったことがあり、その度に銃撃戦で死傷者が出ています。

韓国側では、「死ぬかもしれないけど自己責任で行きます」という誓約書に署名が必要という話も聞いていたので、かなりの厳戒態勢と思っていましたが、まさかの和気あいあいムード。
これまでの北朝鮮旅行では、軍事施設はもちろん、軍人を撮影する行為も制限されていましたが、ここでは許可が出ます。

板門店で北朝鮮軍将校との記念撮影

大きな声を出す、走る、挑発行為をとるなどは絶対にしないよう言われましたが、それ以外は至って普通の観光。

北朝鮮軍将校と個人的に話すことができ、軍事境界線をバックに集合写真まで撮ることができます。

さすがに緩すぎませんか(笑)。

ちなみに、板門店まで来ると韓国の電波を拾うので、北朝鮮国内では貴重なネット環境にありつけます。

せっかくなので、軍事境界線を眺めながらツイートとLINEしておきました。

北朝鮮旅行も終盤、昼間の平壌市内で見たものは

板門店の見学が終わり、元旦の日程はほぼ終了。
そのまま平壌へ帰ります。

当然、道は1本しかないので、再び3時間のスペースマウンテンです…。

北朝鮮・平壌市内のレストランで食べるアヒルの焼肉

この日の夕食は、北朝鮮名物アヒルの焼肉。

しまった肉質、程よいコクと脂のバランスが素晴らしいアヒル肉。
北朝鮮旅行で食べた料理の中で文句なしのトップ、これは本当に絶品です!

北朝鮮のどんぐり焼酎

こちらは、どんぐりで作った珍しい焼酎。
北朝鮮では、割とポピュラーなお酒だそうです。

アルコール度数30%ですが、渡されたのはショットグラス。
ストレートで飲むのが北朝鮮流らしいです。

ひと口目は結構ガツンと来る印象を受けましたが、お土産にして自宅で水割りやロックで飲んだら、一気に飲みやすくなって普通に美味しいお酒でした。

さて、ダラダラと書いてきた北朝鮮旅行記ですが、次で最終回です。

最後は、昼間の平壌市内の様子をご紹介しつつ、全体を通して色々と考えさせられる旅だったので、私なりに思ったことや感じたことも書こうかと思います。

それでは、もうしばらくお付き合いください。