タイは、まもなく乾季(雨の少ない時期)に入り、旅行シーズンを迎えます。
※タイの乾季は11月頃~2月頃
長かった雨季が終わり、カラッとした晴れの日が続くので、現地在住者にとって過ごしやすい季節でもあります。
しかし、この時期になると『PM2.5』というキーワードが度々話題に上ります。
バンコクの大気汚染は、ここ数年で更に深刻化してきたと言われています。
特に、2019年は連日ニュースで取り上げられ、N95マスクの品薄状態が社会問題にもなりました。
毎年日本でもニュースになるので、旅行や出張で気にかけている方も多いと思います。
そして、バンコク在住者にとっては避けて通れない問題です。
今回は、バンコクの大気汚染(PM2.5)問題に関して、現況や対策などをご紹介します。
目次
PM2.5とは
・大気中に浮遊している2.5μm(1μmは1mmの千分の1)以下の小さな粒子のことで、従来から環境基準を定めて対策を進めてきた浮遊粒子状物質(SPM:10μm以下の粒子)よりも小さな粒子です。
引用:環境省-大気環境・自動車対策-より
・PM2.5は非常に小さいため(髪の毛の太さの1/30程度)、肺の奥深くまで入りやすく、呼吸器系への影響に加え、循環器系への影響が心配されています。
主な原因としては、以下が挙げられます。
・自動車から排出される排気ガス
・火力発電所で石炭を燃やしたときに発生する煙と煤(すす)
・建設現場からの粉塵
・野焼きで発生する煙
・油性塗料の蒸発
・家庭での調理や喫煙で発生する煙
・黄砂や火山灰
バンコクの場合は、世界渋滞ランキングの上位に入る交通量、排ガス基準を満たしていない古い車が多く走っている、という2点が大きいかと思われます。
PM2.5の健康リスクに関して
呼吸器系の疾患(ぜんそく・肺炎など)のほか、よく聞くのが眼科系疾患(アレルギー性の結膜炎など)。
空気の悪いところにいると、目が痒くなったり、涙が出てきたりしますよね。
また、長期的に吸い続けると、肺がんや脳卒中などのリスクも高まります。
詳しくは、環境省の資料からどうぞ。
参考 PM2.5の健康影響と対策環境省タイ・バンコクでのPM2.5の対策(個人編)
大前提:汚染状況(PM2.5濃度)を知る
対策を講じる前に、まず大前提としてリアルタイムの汚染状況を知る必要があります。
下記のサイトが非常に便利なので、ご紹介します。
参考 バンコクの大気汚染:リアルタイム大気汚染指数(AQI)世界大気汚染指数(World Air Quality Index)こちらの画像は、当記事公開日(2019年9月30日)午前の汚染状況です。
まだ乾季入りしていませんが、AQI値181で「健康に良くない」と出ています。
ちなみに、2019年初頭には数値200オーバー「非常に健康に悪い」 が連続し、バンコクの小中高合わせて400校以上が休校となりました。
①外出を控える
数値が高い(PM2.5が高濃度)日は、不要な外出を控えましょう。
気になる方は、一週間予測を確認し、数値が上がりそうな日までに買い物を済ませておいてもいいと思います。
②マスクを着用して外出する
PM2.5は、風邪や花粉症で使う一般用マスクでは防ぎきれません。
N95マスクなどの医療用マスクを着用しましょう。
N95マスクは、バンコクでもドラッグストアなどで市販されています。
ただ、PM2.5についてのニュースがあると、一気に品薄状態になることがあります。
それに乗じた転売も横行するので、旅行や出張でバンコクに来る際は、日本からの持参をおすすめします。
③帰宅時の手洗い、うがい
外から帰ってきたら必ず、そしてすぐに手洗いとうがいをしましょう。
うがい薬を使用すると更に効果的ですね。
④換気や窓の開閉を減らす
数値が高い日など、なるべく外気を室内に取り込まないよう、窓の開閉回数を減らすことも大事です。
⑤空気清浄機の使用
とは言っても、外気を全く入れないことは不可能なので、室内では空気清浄機の使用がおすすめです。
バンコク市内でも、ショッピングモールなどで簡単に手に入ります。
短期滞在の場合は、携帯用の空気清浄機を日本から持参してみてはいかがでしょうか。
⑥洗濯物は部屋干しする
PM2.5が及ぼす健康被害には、皮膚疾患も含まれます。
洗濯日和でも、数値の高い日は部屋干ししましょう。
私自身、以前は日本の感覚で洗濯物は外に干していました。
そんなある日、「なんか痒いな」と思い鏡を見ると、背中や肩にじんましんが出ていました…。
ちょうどPM2.5が話題になっていたので、試しに部屋干しを始めるとすぐに症状は治まりました。
恐らく、PM2.5が原因だったのではないかと思っています。
タイ・バンコクでのPM2.5の対策(政府編)
この問題に対して、タイ政府も様々な動きを見せています。
下記はその一部です。
- 幹線道路での放水
- 薬剤を使った人工降雨
- 鉄道工事の一時中断
- ドローンからの散水
- 排気ガス規制の強化
しかし、いずれも対処療法的な対策が多く、根本的な解決には至っていません。
排気ガス規制に関しても、確かに一時期は検問も多く見かけましたが、すぐにいつも通りのバンコクに戻り、大きく改善された様子はありません。
タイ政府には、もっと根本的な解決に動いてもらいたいものですね。
まとめ
かつての日本もそうでしたが、急速に経済発展していく国では環境問題がつきものです。
冒頭にも書きましたが、これは避けて通れない問題なので、どう向き合っていくのかが大切だと思います。
個人レベルの対策は限られてしまいますが、体に影響が出てからでは遅いですからね。
とにかく今は、
数値をこまめに確認し、その都度①~⑥などの対策を講じる。
これに尽きると思います。
皆さんの参考になれば幸いです。